カテゴリ: マンガ・CG / 作品形式: マンガ
サークル: ことらっく / 評価: 4.68 (53件) / DL数: 850 / 価格: 定価3,520円 → 50%OFF 1,760円, 09/14 13:59まで
同人マンガの短編集というのは、いわば「この作家、気になってたけどどれから手を出せばいいかわからん」問題に対する最適解であり、同時に「全部持ってるんだけど……」という既存ファンには悩ましい存在でもある。サークル「ことらっく」の『ことらっく短編集1』は、まさにその両面を併せ持つ一冊だ。
全336ページ、7作品+描き下ろし23ページの純愛マンガ集
まず基本情報を整理しておこう。この作品はサークル「ことらっく」がこれまでに発表してきた7作品をまとめて収録し、さらに描き下ろしマンガ23ページを加えた短編集だ。形式はjpg形式のマンガで、全336ページ。テーマは一貫して「純愛」。幼なじみ、後輩、クラスメイト——いわゆる身近な女の子との甘い関係を描いた作品群で、ジャンルとしてはド直球の純愛エロマンガということになる。
収録作品のタイトルをざっと眺めてみると、「柔らかな幼なじみを抱いた日」「姫島先輩はエッチに興味津々」「地味で巨乳なクラスメイトの素顔を俺だけが知っている」「生意気ポニーテール娘をHなお仕置きで涙目にする話」等々——まるで深夜のコンビニのラノベ棚を凝縮したようなラインナップだ。一つ一つのタイトルに「わかってるな」と言いたくなる男心の急所を突くワードが散りばめられている。幼なじみが2回も3回も出てくるあたり、作者の性癖というか信念が透けて見えて好感が持てる。幼なじみは人類の希望だ。異論は認めるが聞かない。
描き下ろしの3本も、既存作品のアフターストーリー的な位置づけらしく、「着衣中出しエッチ編」「ご褒美エッチ編」「臨月ボテ腹エッチ編」と、いずれも既存キャラの"その後"を描いた内容になっている。既存作品を読んだ上で味わうと感慨深さが増すタイプだろう。23ページという分量は単体で見れば短いが、3エピソードに分かれていることを考えると1話あたり7〜8ページ。短編集のボーナストラック的なポジションとしては妥当なところだ。
平均評価4.68——この数字が意味するもの
評価数53件で平均4.68というのは、同人マンガとしてはかなり高い水準だ。53件という母数は「バズって万人が買った」というスケールではないが、逆に言えば「なんとなく買った層」が少なく、このサークルの作風を理解した上で手に取った人が多いということでもある。そういう目の肥えた購入者が4.68をつけているわけで、少なくとも「買って後悔した」という声は極めて少ないと推測できる。
DL数は850。正直、同人マンガの短編集として飛び抜けた数字ではない。だがこれは既存作品を個別に持っている人が「描き下ろし23ページのためだけに買うかどうか」で足踏みする構造上、ある意味当然のことだ。逆に言えば、まだことらっくの作品を一つも持っていない人にとっては、このDL数の控えめさは関係ない。むしろ「埋もれた良作をまとめて拾えるチャンス」と捉えるべきだろう。
誰に向いているのか、正直に言おう
この短編集の最大のターゲットは、間違いなく「ことらっくの作品をまだ買ったことがない人」だ。7作品がまとめて入って定価3,520円、しかも今セール中で半額の1,760円。個別に全部買ったらいくらになるか計算するまでもなく、入門パッケージとしての価格設定は破格と言っていい。純愛系のマンガが好きで、幼なじみ・後輩・クラスメイトといった王道のシチュエーションに心臓が反応する体質の人間であれば、まず外さない。
一方で、既に収録作品を複数持っている人は冷静になったほうがいい。描き下ろしは23ページ、つまり単体の短編1本分程度だ。既に5作品以上持っているような筋金入りのファンにとっては、「23ページのために1,760円を払うかどうか」という話になる。もちろんそこに価値を見出す人もいるだろうし、jpg形式で統一されることで管理が楽になるという実利もある。だが「全作品持ってるけど描き下ろしだけ読みたい」という場合、正直コスパの面ではやや厳しい。ファン税と割り切れるかどうかだ。「ファン税」って言葉を使った瞬間に自分の購入履歴が走馬灯のように駆け巡ったが、同人オタクは皆この税を喜んで納めてきたはずだ。俺もだ。
純愛短編集としての立ち位置——王道の中の王道
同人マンガ、特にエロマンガの短編集というジャンルにおいて、「純愛一本勝負」で通しているものは意外と多くない。大抵はバリエーションを出そうとして寝取りや陵辱をちょっと混ぜてきたり、シチュエーションのギャップで変化球を投げたりする。だがこの短編集は、紹介文を見る限り徹頭徹尾「純愛」で統一されている。幼なじみと、後輩と、クラスメイトと——全員が「好きな子と結ばれる」という同じ方向を向いている。
これを「変化が少ない」と見るか「ブレがない」と見るかは、完全に読者の好みによる。個人的には、短編集だからこそ作家の一貫した色が見えるほうが価値があると思う。寿司屋に行って「全部マグロで」と言えるのは本当にマグロが好きな人間だけだし、全部マグロで出してくるのは本当にマグロに自信がある店だけだ。このサークルは純愛のマグロだ。……いや、この比喩は我ながらどうかと思うが、言いたいことは伝わるだろう。
もう一つ注目したいのは、収録作品のタイトルから読み取れるヒロインの多様性だ。幼なじみ系が複数いる一方で、「生意気ポニーテール娘」のようなちょっと気の強いタイプや、「地味で巨乳なクラスメイト」のような大人しい系もいる。純愛という大枠は共通でも、ヒロインの性格やシチュエーションには幅を持たせてある。7作品もあれば「この子は刺さる、この子はそうでもない」という当たり外れは当然あるだろうが、逆に言えば7回ガチャを引けるわけで、1人も刺さらないということはまずないだろう。
気になる点・注意点
まず形式がjpgのみという点は一応気に留めておきたい。PDFやEPUB形式での提供はなさそうなので、ビューワーの選択や見開き表示の設定は自分で工夫する必要がある。この手の形式の問題は慣れている人には些細なことだが、「買ったらすぐKindleみたいにサクサク読める」と思っている層には一手間かかる。
それから、個別作品の内容の詳細——たとえば各話のページ数配分や、絵柄の変遷、ストーリーの深さなどについては、メタ情報からは判断しきれない。全336ページを7作品+描き下ろし3本で割ると、1作あたり平均30ページ強。同人マンガの短編としては標準的〜やや短めだ。商業誌の読み切りに近いボリューム感と思えばいいだろう。ガッツリ長編を読みたい人には物足りないかもしれないが、短編集とはそういうものだ。寝る前にサクッと1話、翌日にまた1話、という楽しみ方が合っている。
セール情報——この半額は見逃すと痛い
現在50%オフの1,760円。定価3,520円の半額だ。セール終了は9月14日の13時59分。全336ページで1,760円ということは、1ページあたり約5.2円。缶コーヒー1本分で30ページ以上読める計算になる。しかも描き下ろし付き。まだ一度もことらっくの作品を買ったことがない人にとっては、これ以上ないタイミングだろう。
逆に言えば、定価の3,520円だとやや悩ましい。個別作品をバラで買って好みのものだけ揃えるという選択肢も出てくるからだ。だが半額なら、多少「合わない話」が混じっていたとしても全体の満足度で十分元は取れる価格帯だと思う。
結局、買うべきかどうか
純愛が好きで、幼なじみやクラスメイトとのイチャラブ展開に弱い同人マンガ読みで、まだことらっくの作品を持っていない——この条件に2つ以上当てはまるなら、半額の今が一番いい入り口だ。評価4.68という数字が「買った人はちゃんと満足している」ことを静かに証明している。派手さはないが、純愛という一本の筋を丁寧に通した短編集。夜中にスマホで1話ずつ読み進めて、読み終わったあとに「……いいな」と独りごちる、そういう穏やかな満足感を求めている人に、そっと差し出したい一冊だ。








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