カテゴリ: マンガ・CG / 作品形式: マンガ
サークル: ピアニッシモ / 評価: 5 (19件) / DL数: 601 / 価格: 定価6,270円 → 50%OFF 3,135円, 10/03 23:59まで
同人マンガの総集編というのは、いわば「あのサークルの歴史をまるごと一冊で追体験できるタイムカプセル」だ。サークル『ピアニッシモ』の『ピアニッシモ M@STER総集編』は、まさにその名の通り、サークル活動の最初期から現在までのア○マス二次創作同人誌をすべてぶち込んだ、ファンにとっては夢のような——あるいは財布にとっては悪夢のような——一冊である。
収録作品数がちょっとおかしい
まず冷静に数えてほしい。ナンバリングされた本編が22作品、加えて特別付録として「妄想店」シリーズの総集編+各コミケ回の付録が6点。合計で28タイトル収録だ。しかもこの中には、コミックマーケットの会場限定で頒布されていたコピー本や、これまで電子化されていなかった作品がすべて含まれている。つまり「あの時イベントに行けなかった」「電子で探したけど見つからなかった」という後悔を一発で成仏させてくれるパッケージということになる。
収録作品のタイトルをざっと見るだけでも、キャラクターの幅広さが伝わってくる。新田、鷺沢文香、三船美優、本田未央、城ヶ崎姉妹、如月……デレマス勢を中心に、多彩なアイドルたちが登場している気配がある。エロ方面も「競泳水着(非エロ)」「モバマス雑記(非エロ)」と明記されている作品がある一方、タイトルから察するにかなり直球なものもあり、緩急のつけ方が実にサークルの歩みそのものという感じだ。「アヘ顔ダブルゆきぽ」というタイトルを真顔で打ち込んでいる自分に若干の感情が湧くが、これもレビュアーの仕事である。
サークルの「全部入り」が持つ意味
総集編という形式は同人界隈では珍しくない。ただ、ピアニッシモのこの総集編が持つ意味合いは少し特殊だ。というのも、電子化されていなかった作品を「すべてここに集結」と銘打っている点だ。同人誌というのは基本的にイベント頒布が主戦場で、後から欲しくなっても中古市場を彷徨うか、作者が電子化してくれるのを祈るしかない。それが全作品まとめて読めるというのは、このサークルのファンにとっては事実上これが唯一の入手手段になる作品が複数含まれているということだ。
しかも会場限定のコピー本まで収録している。コピー本というのは、薄い・少部数・その場限りという三拍子揃った「幻の一品」になりがちなブツだ。それが電子で読めるというのは、地味にとんでもない付加——いや、おいしいところだ。イベント会場の空気ごと味わえるわけではないが、中身を読めるだけで十分ありがたい。
評価5.00の重みを考える
平均評価5.00、評価数19。この数字をどう読むか。評価数19というのは、正直に言えばサンプルとしては少なめだ。ただ、19人が全員満点をつけているという事実は無視できない。1人や2人なら「たまたま好きな人だけが買った」で説明がつくが、19人ともなると話が違う。少なくとも「買った人の満足度が極めて高い」ことは間違いない。
DL数601という数字も、このジャンルの総集編としてはそこそこ健闘している。そもそも総集編というのは「既に何冊か持っている人は重複を嫌って買わない」「サークルをよく知らない人はいきなり総集編に手を出しにくい」という構造的なハンデを抱えている。それでいて600DLを超え、評価が満点というのは、内容の質が口コミで伝わっている証拠だろう。ランキング2位という現在の順位も、セール効果を差し引いてもなかなかのものだ。
3,135円は高いのか安いのか
定価6,270円が50%オフで3,135円。セール終了は10月3日の23時59分。同人マンガの総集編として3,135円という価格を見て「うっ」と思う人もいるだろう。気持ちはわかる。俺も最初は一瞬ひるんだ。
だが冷静に計算してみてほしい。28タイトル収録で3,135円ということは、1作品あたり約112円だ。缶コーヒー1本より安い。イベント会場で1冊ずつ買っていたら、交通費だけで3,135円など一瞬で吹き飛ぶ。そもそも入手困難な作品が含まれていることを考えると、定価の6,270円でも「高い」とは言いにくい内容量ではある。セール中の今なら半額という事実は、迷っている人にとって明確な判断材料になるはずだ。
ただし注意点もある。総集編の常として、既にこのサークルの個別作品を何冊か電子で持っている人は重複分がもったいないと感じるかもしれない。持っている冊数と照らし合わせて、未所持の作品数で割り算してみるのが正しい判断基準だろう。逆に、このサークルの作品を1冊も持っていない人にとっては、これ以上ないエントリーポイントになる。
こんな人に向いている、こんな人は立ち止まれ
まず明確に向いているのは、デレマス系の二次創作が好きで、ピアニッシモの絵柄や作風が好みに合う人だ。製品ページのサンプルで絵柄を確認して「これは好きだ」と思えたなら、28作品分の満足がまとめて手に入る。
次に向いているのは「イベントにはなかなか行けないけど、会場限定のレアな同人誌も読みたい」というタイプ。地方民や多忙な社会人にとっては、コピー本が電子で読めるというだけで価値がある。俺自身、何度「あの本、会場でしか売ってないのか……」と天を仰いだかわからない。
逆に注意が必要なのは、特定のキャラクターだけが目当ての人だ。22作品+付録6点という構成上、自分の推しが登場する作品もあればそうでないものもある。推しが1〜2作品にしか出ていないなら、3,135円の全額をその子に払っている気分になるかもしれない。収録タイトルのリストを製品ページでよく確認して、自分の守備範囲に何作品引っかかるかを数えてから判断するのが賢い。
また、「非エロ」と明記されている作品が少なくとも2つあるように、全作品がR-18というわけではない。そういう方向だけを期待して買うと「あれ、この作品は健全だった」となる可能性がある。もっとも、非エロ作品にはそれ特有の良さ——キャラクターへの解像度の高さやファンアート的な楽しみ方——があるので、損というわけではないが、期待値の置き方は意識しておいたほうがいい。
楽しみ方の提案
28作品もあると、一気読みするか少しずつ味わうかで印象がだいぶ変わる。個人的には、サークルの活動初期から順番に読んでいくのを推したい。ナンバリングが001から振られているのはおそらく発行順で、作者の画力やテーマの変遷を追えるのは総集編ならではの醍醐味だ。初期作と最新作を見比べて「ここまで変わったのか」と感心するのも、サークルの歩みを丸ごと買った人間だけに許された贅沢だろう。週末の夜に2〜3作品ずつ読み進める、という使い方をすれば、2週間近く楽しめる計算になる。3,135円で2週間の夜が潤うなら、悪くない投資だと思う。
セール期限は10月3日まで。迷っている時間は割引率に換算できないので、製品ページのサンプルを見て、絵柄と作風が自分の波長に合うかどうかだけ確かめてみてほしい。それで「いいな」と思えたら、あとは28作品分の夜が待っているだけだ。







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