カテゴリ: マンガ・CG / 作品形式: マンガ
サークル: 秘密結社うさぎ / 評価: 4.88 (17件) / DL数: 501 / 価格: 2,750円
同人マンガの総集編というのは、ある意味で「答え合わせ」だと思っている。過去作をバラで追いかけてきた人間にとっては自分の審美眼が正しかったかの確認であり、未購入の人間にとっては「このサークル、信用していいのか?」を一冊で判定できる試金石でもある。サークル「秘密結社うさぎ」の『秘密結社うさぎ総集編2』は、その試金石として実に重量感のある一冊だ。310枚、2750円。この数字だけで背筋が伸びる。
300ページ超えの総集編、中身はどうなっている
まずこの総集編に何が入っているかを整理しておこう。2022年から2026年にかけて発表された同人マンガ9作品に加え、コミケ会場限定のおまけ本3種、さらに電子版限定の描き下ろし12枚。合計310枚。内訳を見ると、本編にあたる9作品だけで272枚あるので、おまけや描き下ろしは「盛りつけの彩り」ではなく「しっかりした副菜」くらいのボリュームだ。会場限定本なんて普通は手に入らないわけで、イベントに足を運べなかった勢にはこれだけでも価値がある。
収録タイトルを見ると、大きく分けて3つのシリーズ+単発2作品という構成になっている。「委員長は今日からみんなのオモチャ」シリーズが3作、「かわいいけど性格悪いからイジメちゃお!」シリーズが3作、そして「後輩の彼女、つまみ食い」「性欲オバケに呪われちゃった!?」「奈落さんは、スリルに恋してる。」の単発もの。シリーズの続き物をまとめて読めるというのは総集編ならではの旨みで、1話ずつバラで買ってた頃の「続きいつ出るんだ」というあの焦燥を知っている人間ほど、この一気読みの快感は大きい。逆に言えば、まったく別の世界観の作品がごった煮で入っているわけだから、「このシリーズだけ読みたい」という人には多少の割り切りが要る。
作風と方向性——誰に刺さるマンガなのか
タイトルから察しがつく通り、全体的に支配・陵辱・羞恥といった要素が色濃い作風だ。「委員長をみんなのオモチャにする」「かわいい子をイジメる」「後輩の彼女をつまみ食い」——どれも善良な市民が眉をひそめそうなシチュエーションが並ぶが、まあこういうジャンルを求めてこのページを開いている時点で、俺もあなたも善良な市民のフリをするのはやめよう。重要なのは、このサークルがそうしたシチュエーションを「ただ過激にやるだけ」なのか、それとも「読ませる何か」があるのか、だ。
4年間にわたってシリーズを継続できていること、そしてシリーズごとに3作ずつ展開が続いていることから察するに、キャラクターの立て方や状況のエスカレーションに一定の構成力がある作り手だと見ていい。単発作品も2本入っていて、「性欲オバケに呪われちゃった!?」のようなやや毛色の違うタイトルもある。一本調子ではなく、引き出しを見せてくれる構成は好感が持てる。ただし、全データがグレースケールで再編集されている点は事前に知っておくべきだ。カラー原稿を期待して開くと「あれ?」となるかもしれない。モノクロ(グレスケ)の同人マンガに抵抗がない人なら問題ないが、「やっぱりカラーがいい」という層は注意してほしい。修正方式は黒棒とのことなので、このあたりの好みも人それぞれだろう。
評価4.88、DL数501——この数字をどう読むか
平均評価4.88。5点満点でこの数字は相当に高い。ただし評価数は17件、DL数は501。ここから読み取れるのは、「買った人の満足度は非常に高いが、まだそこまで広く知られていない」という構図だ。総集編という性質上、既存ファンが中心の購買層になるのは当然で、その既存ファンがほぼ満点をつけているということは、サークルの持ち味がブレずにしっかり詰まっている証拠だと思っていい。
DL数501というのは、2750円という価格帯を考えれば決して少なくない。同人マンガの総集編で3000円近い価格設定は、ページ数が多くても心理的ハードルがある。それでも500人以上が手を出しているのは、過去作の評判がじわじわ効いている証拠だろう。「知る人ぞ知る」から「知っておくべき」に移行しつつある、ちょうどそのタイミングの作品だと俺は見ている。
価格と重複購入の問題——正直に話そう
2750円。同人マンガとしては安くない。ここは正直に言う。ただし310枚で2750円を割ると、1枚あたり約8.9円。ファミレスのドリンクバーより安い単価で1枚のマンガが読めると思えば、暴利とは言いにくい。問題は「重複購入」だ。商品紹介文にも注意書きがある通り、過去作を個別に買っている人はその分が丸々ダブる。9作品のうち半分以上を持っている人にとっては、会場限定本3種と描き下ろし12枚のために2750円を払うかどうか、という判断になる。これは正直、既存ファンほど悩ましい。
逆に言えば、このサークルの作品をまだ1本も持っていない人にとっては、破格のお買い得感がある。9作品を個別に全部買ったらいくらになるか——製品ページで各作品の価格を足してみてほしいが、おそらく総額は2750円を大幅に上回るはずだ。初めてこのサークルに触れる人、あるいは1〜2作しか持っていない人にとって、この総集編は「入口」として最適だと思う。未購入の人間が一番おいしい思いをする構造、それが総集編というものだ。既に全作持っている古参ファンは……まあ、お布施だと思ってくれ。会場限定本と描き下ろしは「ありがとう」の気持ちで受け取ればいい。
気になる点・合わない人はこんなタイプ
いくつか率直に挙げておく。まず、陵辱・イジメ・寝取りといった要素が苦手な人には根本的に合わない。タイトルの時点でだいぶ素直に内容を教えてくれているので、「委員長がオモチャにされる話か……」と思って引いた人はそのまま引いていい。自分の性癖に正直になれる人だけが開くべきドアだ。
次に、グレースケール編集の件。元がカラーだった作品も含めてグレスケに統一されているようなので、「あの作品のカラー版が好きだったのに」という人には物足りないかもしれない。総集編としての統一感を優先した判断だと思うが、ここは好みが分かれるところだろう。
そしてボリュームの裏返しとして、310枚は一気に読むと結構な体力を使う。俺のような「買ったら即全ページ読まないと気が済まない」タイプの人間は、週末の夜に腰を据えて挑んだほうがいい。平日の深夜に軽い気持ちで開くと、翌朝の目覚ましが敵になる。
こんな夜にこそ、総集編を
秘密結社うさぎの作品を前から気になっていたけど、どれから手を付ければいいかわからなかった人。あるいは「委員長シリーズ」を1作だけ読んで続きが気になっていた人。そういう人にとって、この総集編は4年分の活動をまとめて味わえる決定版だ。310枚という物量は伊達ではないし、会場限定本や描き下ろしという「ここでしか読めないもの」がちゃんと入っている。
評価4.88という数字が示すのは、このサークルのファンが「まとめてくれてありがとう」と素直に喜んでいるということだ。その感謝に便乗するのは、新規読者の特権だと思う。自分の性癖に心当たりがあるなら、一度覗いてみる価値はある一冊だ。








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