カテゴリ: マンガ・CG / 作品形式: マンガ
サークル: KAMINENDO.CORP / 評価: 4.68 (228件) / DL数: 3,265 / 価格: 定価2,640円 → 25%OFF 1,980円, 09/14 13:59まで
サークル「KAMINENDO.CORP」が手がける『ぼうけんのしょシリーズ総集編 The Adventurer's Book has Perfect. Vol.3』。RPG風世界観で女の子勇者たちが魔物に呑まれたり消化されたりする、あの「ぼうけんのしょ」シリーズの総集編第3弾だ。合計262ページ、しかも新規描き下ろし22ページ付き。冒険の書が消えるのはゲームの中だけにしてほしいが、このシリーズに限っては「消えてしまいました」のたびに財布のHPも一緒に消えていく仕様になっている。
どんな作品なのか――RPG世界観×丸呑み・消化の総集編マンガ
まずジャンルを正確に言っておくと、これはマンガ作品だ。ボイスでもゲームでもない。あかざわRED氏が描く、RPGファンタジーの世界観をベースにした漫画シリーズの総集編にあたる。シリーズのキーワードは「丸呑み」「消化」「サキュバス」、そして勇者の女の子たち。いわゆるヴォアフェチ(丸呑みフェチ)や、それに付随するシチュエーションを真正面から描いた作品群をまとめたものだ。
収録内容をざっくり整理すると、既刊の「ぼうけんのしょ8」「サキュバスのひみつずかん」「ぼうけんのしょ10」に加え、シリーズ外の甘やかし漫画「せわやきざしきわらし」、そして新規描き下ろし22ページ「勇者たちは全滅しました。」が入っている。さらにDL版未発売だった「ぼうけんのしょの未収録のまんがまとめちゃいました」42ページも同梱。つまりこの一冊で、シリーズの「双子勇者編」を中心にした流れをまるっと追えるうえに、ここでしか読めないものが2本入っているわけだ。総集編でありながら、既刊を全部持っている人にもちゃんと新しい餌がぶら下がっている。商売がうまい……いや、ファンへの誠実さと呼ぶべきだろう。
描き下ろし「勇者たちは全滅しました。」の気になるところ
新規描き下ろしの「勇者たちは全滅しました。」は22ページ。タイトルからしてもう結末が見えているのだが、RPGプレイヤーなら「全滅」の二文字に妙な郷愁を覚えるのではないか。パーティーが壊滅するあの絶望感、教会で蘇生させようにも金が足りないあの焦り――それをちょっと別の角度から味わえるのがこの作品の醍醐味だろう。
登場人物として紹介されているエミルは双子勇者の妹で、「勝ち気で正義感と性欲が強い」という、ステータス画面に書いてあったらギルドマスターが二度見しそうなプロフィール。サキュバスに犯され、魔の母乳で発情させられた状態で姉のルシルのもとへ連れてこられるという展開が予告されている。RPGの「状態異常:混乱」をだいぶ拡大解釈した感じだが、このシリーズを追っている人にとっては「ぼうけんのしょ8」「10」から続く双子勇者の物語がどう決着するのか、非常に気になるポイントだろう。
なお、同梱の「未収録のまんがまとめちゃいました」42ページは、今回の描き下ろしの元になった下描き版が丸ごと入っている。台詞含めほぼ書き直したとのことで、読み比べると作者の構成力や演出意図の変遷がわかる構成だ。こういう「制作過程の生々しさ」をそのまま一冊に入れてくれるのは、創作の裏側に興味がある人間にはたまらない。俺は完成稿と下描きを並べて「ここのコマ割り変えたのか……」とニヤニヤするタイプなので、この同梱は正直ありがたい。原稿用紙の余白にメモが走り書きしてあったりすると、もうそれだけで酒が飲める。
262ページという物量をどう捉えるか
総集編220ページに同梱42ページを加えた合計262ページ。マンガの総集編としてはかなりの厚みだ。同人誌即売会で手に取ったら「これ辞書か?」と思うレベルだろう。COMITIA155の会場本をデジタルで買えるというのも、地方在住勢や当日会場に行けなかった人間にとっては救いの女神……いやサキュバスか。
ただし注意点がある。収録作品のうち「ぼうけんのしょ8」「サキュバスのひみつずかん」「ぼうけんのしょ10」はそれぞれ単品でDL販売されている既刊だ。すでに個別に買っている人にとっては、重複分のページが当然ある。その場合、純粋に新しいのは描き下ろし22ページ+未収録まとめ42ページ+シリーズ外の「せわやきざしきわらし」+ワールドマップ・時系列といった部分になる。全部初見の人にはとんでもないお得感だが、既刊コンプ済みの人はその点を計算に入れてほしい。とはいえ、シリーズのファンなら「ワールドマップの最新版」と「時系列整理」だけでも資料的な価値があるし、何よりあの双子の結末が描き下ろされているのだから、心の中の勇者が「行くしかない」と剣を構えているはずだ。
評価データが語ること
平均評価4.68、評価数228件、DL数3265。まず評価4.68というのは同人マンガとしてはかなり高い。5点満点で4.5を超えてくる作品は、よほど刺さるものがあるか、あるいはニッチな嗜好にピンポイントで応えていてファンの満足度が極めて高いかのどちらかだ。このシリーズの場合は後者の色が強いと思う。丸呑み・消化というジャンルは万人受けするものではないが、そのジャンルが好きな人にとっては「これが欲しかった」を的確に射抜いている、ということだろう。
DL数3265は、ニッチジャンルのマンガ総集編としては立派な数字だ。シリーズものの総集編Vol.3ということは、Vol.1やVol.2を経て固定ファンがしっかりついている証拠でもある。228件ものレビューが付いているのも、買って終わりではなく「感想を残したい」と思わせる作品だということ。無言で棚に入れて終わる作品とは温度が違う。
こんな人に向いている、こんな人には向かない
向いているのは、まず当然ながら丸呑み・消化系のシチュエーションが好きな人。RPGの世界観が好きで、勇者や冒険者の女の子がモンスターに捕食されるというファンタジー寄りの設定に惹かれる人にはド直球だ。また、シリーズを追いかけていて双子勇者の物語の行方が気になっていた人にとっては、この総集編が一つの到達点になる。
逆に向かないのは、丸呑み・消化というジャンルそのものに抵抗がある人。これは好みの問題であって作品の良し悪しとは別の話だ。エロ描写はあるが、それ以上にシチュエーションの特殊性が前面に出ているタイプなので、「ちょっと興味あるけど大丈夫かな」という人は、まずシリーズの単品を一冊試してから総集編に手を出すのが安全策だと思う。いきなり262ページの大冒険に出るのは、レベル1でラスボスの城に突っ込むようなものだ。まずはスライムから倒していこう。
楽しみ方の提案
個人的には、この手の総集編は一気読みが最高に贅沢だと思っている。休日の午後、飲み物を用意して、スマホではなくできればタブレットかPCの大きめの画面で読んでほしい。262ページを通して読むと、シリーズの世界観の広がりやキャラクターの運命の交差が一本の線として見えてくるはずだ。途中で収録されているワールドマップを確認しながら「ここでこの事件が起きて……」と脳内で冒険を追体験する、あの感覚は総集編ならではの贅沢だ。
DL版はページの一部がカラーになっているとのことなので、会場版との差異も含めてデジタルならではの恩恵がある。俺は基本的に紙の同人誌が好きだが、カラーページが入ると「DLで買ってよかった」と素直に思える瞬間が来る。
セール情報――今なら25%オフ
定価2640円のところ、現在25%オフの1980円で販売中。セール終了は9月14日の13:59まで。262ページで1980円ということは、1ページあたり約7.6円。缶コーヒー一本より安い金額で30ページ以上読める計算だ。いや、こういう計算を始めた時点でもう買う気満々なのだが。
既刊を個別に全部買い揃えるよりも、この総集編で一気にまとめたほうがページ単価は圧倒的に有利だろう。特にシリーズ未体験の人がここから入るなら、セール中の今がちょうどいい入口になる。
最後にひとこと
「ぼうけんのしょは きえてしまいました」――ゲームでこの一文を見たときの絶望は誰しも知っているだろう。だがこのシリーズでは、消えた先にこそ物語がある。262ページの冒険の書、セール中に手に入れておいて損はないと思う。少なくとも、こっちの冒険の書は電源を切っても消えない。








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